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追憶
2010 / 03 / 23 ( Tue )
熟睡しているはずなのに、何かの気配を感じて、ふと目がさめました。

…もう朝なのかな。あれ ? 朝にしては……やけに暗い ?

まだ早い時間なのか、あたりはまだ薄闇に包まれています。
不思議なことに、意識ははっきりしているのに、なんだか部屋全体がぼんやりした印象です。夢の中かもしれないと思いましたが、それにしては眠気もなく、頭はすっきりしています。

…暗いからかな。そやけど、なんでこんな時間に起きてんやろ。

自慢じゃないけど、朝は7時にならないと起きられない私。
多分今の時間は夜明け前のはず。
妹は、少し離れた場所で寝息をたてています。

理不尽な違和感にとまどっている私の耳に、かすかな物音が響きました。

パタパタパタ……

聞き覚えのあるその音は、昔飼っていたリスが畳の上を走る足音です。

足音は、枕もとにかけ寄ってきたかと思うと、また遠くに走り去ります。
パタパタパタ………
部屋のあちらこちらをウロウロしたと思ったら、今度は砂混じりの土壁に爪をひっかけてよじ登り始めました。
ジャッジャッジャッ………
一緒にパラパラと落ちる砂の音。
…あああ、また掃除せんとあかんやんか。

上まで上がると鴨居にひょいと飛びついて、部屋をぐるりと一周するように走り、クーラーの上に。
そうかと思うと今度は床の間の曲がった柱をつたって降りてきました。
そしてまたあちこちをウロウロしています。

パタ、パタ、パタ………

音は聞こえるのに、姿が見えない……
どうしてでしょう。居場所は把握できるのに、どうしてもその姿を確認することができません。
それに、この部屋は六畳間なのに、どうしてこんなに広いんでしょう。壁までの距離がものすごく遠いような気がします。
夜が明けかけて空も白んできたというのに、相変わらず軽い足音だけが耳に響いてきます。

いろんなことを考えていたら、ふいに睡魔に襲われました。
…さっきまであんなに目が冴えていたのに……?


起きたのは、いつも通り朝7時でした。

…やっぱり、いつもの時間にしか起きられへんなあ。
土壁の前の畳をさわってみましたが、砂は落ちていませんでした。
…やっぱり夢やったんかな。それにしては、やけにリアル。しかも、なんで今頃?

それは一番最初に飼っていたリスで、一番なついていた奴でした。
あんまり慣れていたので、ケージの必要がないと思い、部屋に放し飼いにしていたのです。

…死んでしまってもう何年も経つのに、なんで今になって夢に見るんかなあ。

こみ上げてくる懐かしさはあるものの、胸のつかえが気になります。
これって、何か意味があるんやろか……


  
一瞬、はじけたように脳裏に浮かんだ答えがありました。
まさか、まさか……!?
自分の勝手な思いつきに半信半疑になりながら、私は階段を駆け下りました。

サンダルを履いて庭への扉を開けた瞬間、あやふやな妄想は確信に変わり、すべてのことが理解できました。

庭の向こうは隣の家。
昨日から工事が始まっていて、取り壊された建物を撤去した後方に車道が見えます。
更地になって掘り起こされた地面と、その端にとめられたショベルカー。
そして手前にある我が家のちっぽけな庭の土までごっそりこそげ取られています。


なくなってしまったその場所には、昔死んだリスのお墓がありました。
ずいぶん前のことなので、作った本人さえすっかり忘れていたんです。

たった今まで思い出すことさえなかった自分の無情さを腹立たしく思いながら、私は削り取られた土の断面を長いこと見つめていました。

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